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意味のない限定はむしろ入れる?

 皆様、こんにちは。

 外苑前駅3番出口徒歩20秒、特許業務法人 IPXの奥村 光平(オクムラ コウヘイ)です。代表弁理士COO/CTOとして、CEOの押谷とともに当所IPXを経営しています。

URL: ipx.tokyo
アイピーエックス ドット トウキョウ と覚えてくださいね!

 IPXでは、"From XXTech to Academic Study" をポリシーに、創業当初より得意としていたベンチャー系テクノロジーから、大学・研究機関等での高度な専門性を必要とする学術研究に至るまで、多様な経歴を有するスタッフが、ソフトウェア・ICT分野(特に、AI, IoT,VR/AR, CV, 画像処理, ロボティクス, 無線通信, 制御等)の特許事案を、迅速かつ丁寧に対応いたします。「品質」と「スピード」とは徹底化されたIPX独自の3つのメソッドに基づくことで両立いたします(爆速知財サービス)。


ある発明を特定するための発明特定事項を考える上で、
権利範囲を狭める不要な限定は極力避けるべき(厳密にはクライアントの要望次第・・・)
というのは共通の認識だと思います。

では、入れても入れなくてもいい限定はどうでしょう?
実は「入れてよい」というのが、SKIPパートナー弁理士の伊藤先生のスタンスです
(無論これもクライアントの要望次第ではありますが)。

これについて自分なりに考えてみました。
伊藤先生の考え方とは違うかもしれませんが、ご了承ください。

特許請求の範囲で大切なことはなんでしょう?
1.正しく権利範囲を訴求しているか。
2.逃げにくい権利範囲か。

では、書き方、型などはどうでしょう?
これを過度に気にしている人が多い気がします。
それよりもむしろ日本語としての可読性を重視するべき!
つまり審査官にわかりづらいと思わせないこと。

例として、超音波カッターを考えます。
(実際の案件ではなく適当な例です。)
その超音波カッターの、基板を固定する手段に
特別な技術的特徴(特施規25条の8)があるとします。
超音波の発生部分や基板を載置する台にはついては公知技術を採用しているとします。

そのときに、単に
「○○な基板固定手段を具備する、超音波カッター」
とするのではなく、
「超音波を発生する超音波発生手段と、基板を載置する載置台と、○○な基板固定手段とを具備する、超音波カッター」
とするわけです。

え?前二ついらなくね?

そうですよね、いらなそうですよね。
では前者2つを取っ払うことによって権利範囲が広くなるか?

実はそうでもなく、
超音波カッターといった時点で、
当業者からしたら、
構成要素に超音波発生手段と載置台はどうにもこうにも含まれるわけですね。

そもそも発明の要旨は特許請求の範囲に基いて認定されるものです。
審査官が超音波カッターというものを
よく知らなかったときを考えてみてください。

弁理士試験ではおなじみのリパーゼ判決では

 要旨認定は,特段の事情のない限り,願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限って,明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されるにすぎない。

と指摘していますね。

つまり明細書は関係なく本来は、
特許請求の範囲だけ見れば要旨が認定されるべきなんですね。
そう考えると、入れても入れなくても良い限定は
むしろ入れた方が審査官が要旨認定する際によりフレンドリーな設計といえます。

まぁ、入れても入れなくてもよいかどうかをちゃんと見極める必要がありそうですが、
これは、技術を理解しているかにかかってきそうですね。
全く新規な装置(基本発明)の場合は、この例はあてはまらないだろうから。
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 みなさん、こんにちは!

 特許業務法人 IPXという特許事務所を経営している代表弁理士COO/CTOの奥村 光平です。

【略歴】
 博士(情報理工学)/日本学術振興会特別研究員 (DC2&PD)から、鈴榮特許綜合事務所(知財未経験の特許技術者として)に入所。続いて短答試験に合格したので外国出願に強い特許事務所に転職し翌年最終合格(アソシエイト弁理士)。2018年4月に前職の同僚である押谷と特許業務法人 IPXを設立し、代表弁理士COO/CTOに就任。

【特技】
 特技というか趣味に近いですが、日英韓三ヶ国語話せます。ちなみに純ジャパニーズです^^; 一応情報系出身なので、所内のシステム組むとかもやってます。

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